Tips
建築写真の撮り方・考え方|ポーチ・玄関の撮影
こんにちは、日頃撮影を担当しております栗原です。
今回は、建築竣工写真におけるポーチ・玄関部の撮影に関する記事をご紹介します。アプローチ~玄関は家の顔とも呼ばれる大切な場所。門扉がついていたり、飛び石があったり、目隠しのルーバーがついていたりと様々です。基本的な考え方は外観の撮影と変わりませんが、この記事では実例を交えながら撮影時の注意点などをご紹介します。
基本は正対撮影
決まった撮影のレギュレーションを自分の中に持っておくことで、どのような状況にも対応し易くなります。その中でも最も基本的なものとして撮影したいものの正面に構える正対撮影があります。
正対撮影では画面に傾きを付けられないので、どこにカメラを構えるのかが重要になります。ドアそのものを撮りたい場合はドアを画面の中心に据えるのが基本になりますし、ポーチ全体の空間を撮影したい場合はその空間の中心に立つのがいいかもしれません。今自分が撮影したいもの、その構造の中心に立つことで写したいものが明確な、整理整頓された写真になります。
正対撮影の実例
振り構図
振り構図はともすればなんとなしに撮影してしまいがちですが、正対写真で伝えきれない要素があった場合、それを補う意図をもって撮影することが多くあります。アプローチ~ポーチであれば、ドア、植栽やポスト、窓などを一つの画面に収めたいとき、玄関内部であれば、靴箱、ドアを画面内に収めたいときに撮影します。もちろん現場によっては振り構図がメインになることもありますので、その時に何をどこまで写すかを常に意識して撮影を行います。
イメージとして正対構図は誠実で丹精な印象を、振り構図はのびやかな印象を与えます。それぞれのシチュエーションにあった構図を選択し撮影を行います。
振り構図の実例
ポストまでを構図に含める振り構図。
のびやかな屋根、庇を表現する振り構図。
玄関内部の撮影(玄関ドアを開けたシーン)
玄関内部も正対での撮影を基本としています。玄関内部は空間に余裕がないことが多いため、16mmなどの超広角レンズを使用して空間全体を捉えるようにします。上がり框からタイル部分までを構図に含めると玄関全体の雰囲気を伝えることができるので、カメラの高さを低めに設定することも多くあります。玄関ドアの方に振り返った写真でも、カメラの高さを下げたり、スペースに余裕がある場合は後ろに引いたりしながらフローリング材までを構図に含めることで、玄関の持つ雰囲気を伝えやすくなります。また、こちらでも扉に向かった正対写真を基本としていますが、靴箱などの要素がある方向へ振った写真も撮影しています。
玄関内部の撮影実例
引きがない玄関でも、焦点距離とカメラの高さを調整することで収まりよく撮影します。
扉側に振り返った場合でも、フローリング材まで構図に含めることで玄関の持つ印象を伝えられます。
マンションのエントランス撮影
マンションなどのエントランス撮影の場合も基本的には戸建住宅と同じ考え方で撮影します。ただしガラス製のドアであることが多いため、反射によって内部がよく見えないということになりがちです。その場合は下の写真のようにドアの電源を落とし、開けたままにして撮影を行います。
その他事例紹介
画面下方と上方の情報量によって、カメラの高さを調節することも大切です。
いかがだったでしょうか。玄関周辺は様々な要素が集合する場所ですので、構図の中に何をどこまで取り込むのかを見極めていく必要があります。もし構図に悩んでしまった場合は、まず正対に立って何を中心に据えるのか、自分が何を撮りたいのかを考えてみるとよいかもしれません。写したいものを構図の中に入れ、写したくないものを省いていけば、おのずと整理整頓された写真になります。
イエフォトでは、住宅建築・商業施設を中心に撮影を行っております。撮影に関してご不明な点やご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせください。